2021/7/3 vol.2 きった

“今の”18歳学生 リアルな声

ー3つの性で生きるって??

ー女子校から共学へ

ー男女という分け方への戸惑い
 
ー一度進むと後戻りはできない
 
ー身体をかえるということの意味
 
ーアウティングについてのディスカッション
 

青文字:LIVABALL

黒文字:きった

LGBTなどという単語、専門用語を使わずに自己紹介、自分を説明してください!

18歳、保健体育の教員志望の大学生で、ジムで働いています。

 

自分のことを男とも女とも思っていません。

でも女って言われるとすごく嫌です。男と言われる方が良いけど、でもそれもちょっとちがうかなと感じます。性別の概念はなく、中間とかでもなく、“自分”っていう性別です。

 

人をひとりの人間として見ているし、自分の事もそう見て欲しいと思っています。

 

好きになる対象も「その人自体」を好きになるので、性別は関係ありません。

 

3つの性別? 日常生活

普段の生活の中で「3つの性別」を使い分けて生活しているとお聞きしましたが、具体的にどういうライフスタイルなのでしょうか?

 

①女性として振るまう時
・病院やテストや書類は女性。その他があるならその他。 

・知らない人には男として扱われたいけど、長くかかわる人 (先生とか)にはいずれバレるし、性別欄の為だけにいちいち説明したくないので、女性とします。

女性とされるのは嫌だけど、声を出したら女性ってバレるし…「仕方ないよな…」と妥協します。


②男性として振る舞う時
自分のことを知らない人(例:お店で接客してもらう時など)

「お兄さん」と呼ばれると、「お!?男に見える!?」と嬉しくなったりします。


③自分として振る舞う時
・仲良くなった人にカミングアウトする時やその後
・偏見がなさそうなら初めに伝えることもあります


初対面やまだ会ったばっかりの人にちゃん呼びされると、「あ,自分女だった。」となり、ちょっと絶望するような気分になることもあります。

 

先生や友達周囲の人から「女子なんだから〜。」って言われるのも気分は良くないです。

距離感や偏見の有無で説明する段階、男/女/自分3つの性別を分けているんですね。

説明するのも時間がかかるし、かといって違う解釈されたままとかも嫌ですもんね。

女子校から共学へ

男女という分け方への戸惑い

今までの学校生活はどうでしたか?

(中学・高校 *どちらも女子校)

悩み
制服のスカートやリボン

家から学校が5分ぐらいだった為割り切っていましたが、衣替え期間で見慣れた制服が変わった期間や校外学習の時などは苦痛に感じることがありました。

 

・修学旅行での大浴場

周りに体を見られたくなかったです。

 

 

意外と気にしなかった点・良かった点

・トイレ

みんな自分のことを女子だと知っているため(女子校なので)ジロジロ見られることがありませんでした。そもそも男子トイレはほぼなく、自身の中でも選択肢の中になかったです。

 

・女子しかいないので呼ばれ方もみんな同じだし、体力差も少なかったので、この辺りは気にならなかったです。

そんな中、この春から大学生になったわけですが、学校選びとかで気にかけた部分はありますか?

まず大学に、体操着など男女での扱い分けについて問い合わせをしました。丁寧なところもあれば、「何言っているか分からないんですけど。」というところもありました…。学校によって違いがありました。

でも「いつでも助けてやるからな。」と言ってくれる高校の先生の存在のおかげで、大学にチャレンジできました。

ー実際の大学生活はどうですか?

それまでは女子校だったので気にならなかったけど、共学の大学に入学したことで気になることが出てきました。

 

男女で呼び方が違う さん/君

この事については個人面談の際に統一してほしいとゼミの先生にお願いしました。お願いした際に、「やっぱり良く男の子に間違えられるから嫌なの?」と聞かれたので、「性別にとらわれたくないから。」などとざっくり答えました。

 

身体の男女の違い 体格 運動能力 

6年間女子校であまり実感することがなかったため、落ち込みます。

 

女子トイレ

友達となら平気ですが、入りづらいです。

友達は自分のことを女子だと知っている中、他の人に男子と間違えられた時、内心嬉しいですが少し気まずいです。

今は1年生の為、実技の授業はほとんどありません。唯一の実技空手の授業でも男女で同じことをしているので、身体的な男女の差を実感させられることはないです。・・・ですが、点呼の時はきっぱりと「さん/くん」で分けられます(苦笑)「やっぱりか・・・。」と残念ですが、「この学期だけの我慢だ!」と割り切っています。

親 まさかの経由でバレていた

大学に問い合わせたり自分で動いていると思うのですが、親御さんは現在きったさんの状況などご存知なのですか?

はい。いつの間にか。

ーどういうことですか!?

姉が自分のSNSを見つけて「性別のことで悩んでるらしいよ。」と母に伝えたようです。そして弦之介(本ウェビナー司会者)に相談。そんな経由で、いつの間にかバレていました。

ーお母さんが知ってるということはどうやって知ったのですか?

自分は以前より弦之介君のことを知っており、「会ってみたくない?」と話を母にも出していました。でもその時は母は全く興味を示さなかったんです。

 

なのにある日突然、「こないだ言っていた弦之介君とごはん行こうよ!」と母から言われたんです。

「興味ないって言ってたのに、なんかおかしい!」と思い、弦之介君との食事後、母の携帯をのぞき見しました。そこで弦之介君に相談していることを発見しました。

とてもいら立ちを覚えました。

 

(*補足:お姉さんがとあることで有名な方で、小川弦之介がもともとお姉さんのファンだったことで、繋がりがありました。)

ー何に怒りをおぼえたのですか?

自分の知らないところでコソコソされているのがとても嫌だった。

お母さんも良かれと思って、ご自身の不安もあって誰かに相談したかったのかな?

かもしれません。でも、気付いてるなら「気づいてるよ」ということをまず先に自分に言ってほしかった

誰かに相談しても良いけど、ます自分に言ってからにしてほしかったです。

ーそのあと、改めて自分について話をしたの?

怒りに任せて手紙を書きました。「嫌だった。」ということを。

そのまま数か月経ちましたが、受験が終わり落ち着いた頃に、胸の手術について相談をするタイミングで大体のことを母に伝えたと思います。

ー胸の手術についてお母さんに相談したとき、お母さんの反応はどうでしたか?お父さんは?

「今じゃなくても、焦らなくて良いんじゃない?手術後の周りの目や反応はどうなるの?」

と心配してくれたり、

「社会人になってから自分の責任でやるのはどうなの?」

という反応でした。

 

「でもお父さんはびっくりすると思うから、お母さんが言っておくから。」

と言われました。

 

その後お父さんがどんな反応をしたのかは、詳しく教えてもらえませんでした。

きっとお父さんからすれば、大切な娘だから受け入れがたいところがあるのかなのかな・・・と思ったりします。

 

そして母には後日、「男の人は感情(こうしたいからという希望)では伝わらないから、とりあえず診断書もらってきたら?」と言われました。それが現在の状況です。

今でもお父さんとは直接話していないので、父の本心はわかりません…。

ー(視聴者さまコメントより)
お父さんも話すタイミングをうかがってるのかもしれませんね。

 

アウティングについて

ー先ほどもありましたが、お母さんも良かれと思って、ご自身の不安もあって誰かに相談したかったのかと思います。

 

みなさんも本人に直接「あなたゲイなの?ジェンダーはなんなの?男になりたいの?」などとは聞きにくいので、ネットで調べたり、誰かその人のことを知っている人に聞いたりするかと思います。

 

それが結果的に、世間で言われている「アウティング」繋がることもあるかと思います。

本人の許可なく第三者に自身のジェンダーやセクシャリティを暴露されることについていろんな議論や規則が考慮されるようになってきましたが、きった自身はアウティングについてどう思いますか?

自分の知らないところで誰かが自分のことを知っているというのは、どんなことでも怖いと思います。

一概にアウティングの全てがダメというわけではないけど、何かその前にできること、他の方法や最善策があるんじゃないかな・・・と思います。

 

学校の先生にカミングアウトしたら、ばーっと校内に広がった友達がいました。会議では名前出すのは仕方ないと思います。その子を守るという意味での情報共有の為に。でもこの場合はその子に「会議で名前を出すかもしれないけどそれは大丈夫か?」と配慮したり、本当に内密に、外部には絶対に漏らさないようすることが必要だと思います。

ー例えば今回お母さんにも、「お母さんもお父さんも分からないことがあるから、誰か当事者の人に相談してもいい?」と聞いてもらえてたら良かったのかな?

そうですね、それがベストですね。

ー社会がもっとオープンになれば、偏見を持つ人の割合が下がるのではと思います。そうなればたとえアウティングされたとしても、そのあとの危険性がぐっとさがるのかなと思います。どう思いますか?

同じジェンダーでもそれぞれどう扱われたいかちがうし、伝言ゲームのように人伝いだと微妙に本人の意図するところから変わっていってしまいます。なので、やっぱり本人から直接、がベストなのかな、難しいところではありますね。

手術 慎重に

ー先ほど胸の手術をしたいと親御さんに伝えたとのことでしたが、その他の身体の手術についてはどうお考えですか?

手術は後戻り出来ないので、考えが変わることもあるかもしれません。なので慎重に考えています。

 

でも、胸に対してだけはずっと考えが変わらないので、手術をしたいと思ってます。

 

将来子供が欲しいと思う可能性もないことはないと思うんです。胸はとっても子供は出来るけど、子宮をとってしまったら子供ができないので、胸とは違うレベル。なので、慎重に考えていくべきと思っています。

 

ホルモン注射も興味はありますが、自分の中で今答えが出ている胸だけ、と思っています。

きったから皆さんへのメッセージ

今回自分の話を聞いていただいて、「こんな人がいるんだな。」と知ってもらえたと思います。でも今後自分と似ている人が皆さんの周りに現れたとしても、自分とは同じと思わず、その人一人ひとりとして関わっていっていただけたら幸いでです。

おわりに

いかがでしたでしょうか?

 

公の場で話せる人って、既に悩みを乗り切った人、多くのことにおいて自分なりの答え、生きやすい生き方などを見つけた人たちかと思います。

ですので今回のゲストきったの、今まさに共学の大学生活で戸惑い、揺らぎながらも自身を確立していこうとする18歳の生のリアルなお話を聞けたことはとても貴重でした。

 

性別を使い分けるという言葉だけだと「どういうことだろう?」と疑問に思った方も多いかもしれません。しかし皆さんの生活の中でも、関係性によって自分の本心やアイデンティティに制限がかかって生き辛さを感じるといった場面はあるかと思います。

 

セクシャリティやジェンダーの悩みは目に見えないだけで皆さんの周りにもいらっしゃるかもしれません。そう思えれば「得体のしれない人」から「そういう人もいるし、変なことでもないし、気にすることでもないんだな。」と、すこーしみんなが生きやすい社会になるかもしれません。

 

わたしたちもLGBT+のいち当事者ではありますが、毎回ゲストのお話を聞いて「え!?そうなんだ!?」「〇〇〇というものだと思っていたけど、あなたは違うんだ!?」という発見がいつもたくさんあります。

L・G・B・Tそれぞれの中でもみんな違う。人それぞれちがうって、当たり前のことと誰もが思ってはいながらも、実際には思っている以上に本っ当にひとそれぞれ。

 

今回のゲストきったを含め、社会がより多くの方にとって生きやすくなるために!これからもLIVABALL、がんばってまいります!

 

次回のアーカイブもお楽しみに下さいませ!

視聴者さまご感想

みんな、ちがう。

だから、いい!